2024年10月20日日曜日

戦略型ポジティブシンキングあるいは戦略型ネガティブシンキングのすすめ

 戦略型ポジティブシンキングあるいは戦略型ネガティブシンキングのすすめ

こんにちわ、冬生真礼です。

ーーこの記事は過去ログからの抜粋です。

今回の記事は、ポジティブシンキングとネガティブシンキングに関する記事です。

巷に蔓延るポジティブシンキングとネガティブシンキングに関する誤解を解き、戦略型ポジティブシンキングと戦略型ネガティブシンキングを紹介します。



皆さんは、ポジティブシンキングやネガティブシンキングについてどう理解していますか。

単純にポジティブシンキングはを「何に対してもポジティブ(肯定的)に捉えようとすること」、ネガティブシンキングを「何に対してもネガティブ(否定的)に捉えようとすること」だとお考えでしょうか。 

実は、ポジティブシンキングとネガティブシンキングは、科学的に定義できるのです。

人間は平常状態で肯定的感情をベースにしている方と、否定的感情をベースにしている方が両方いらっしゃいます。

前者の方は、脳の感情を司る部位が快を出力しており、後者は不快を出力しています。

私は別の記事で、人間が言葉を理解する時には、常に自分の内部で言葉の意味を再現していると書きました。

また、人間が他者に共感するときには、他者の脳内状態を模倣して再現して理解しているとも書きました。

文章をを理解するときには、単純に意味を再現しているだけです。

他者が話す言葉を理解するときには、脳は言葉の意味を内部で再現しながら相手の感情状態などを共感能力で模倣しています。

平常状態で肯定的感情を脳が出力している人は、文章を理解したり他者の言葉を理解するときには元々脳が肯定的感情を出力している所に、言葉の意味を再現したり相手の感情状態などを模倣しようとします。

当たり前ですが、元からあった肯定的感情(快の感情)は言葉の理解などに影響を及ぼします。

肯定的感情が、文章や言葉の理解時に上乗せされ混ざるのです。

そのために、他者の言葉を肯定的に捉えがちですし、時には過度に信用してしまいます。

平常状態が否定的感情の人がその逆です。

他者の言葉を否定的に捉えがちで、時には過度に不信を抱いたりします。

また心理的には、自分の抱いている感情状態と合致した印象を物事にいだきやすくなります。

肯定的感情を抱いている状態では物事の肯定的な感情を喚起する側面に注目が行きがちです。

否定的感情を抱いている状態でその逆です。

これは、ベースにある感情状態と結びついた記憶を引っ張り出しやすくなるためです。

これらを要約すると、ポジティブシンキングは「平常状態で脳が肯定的感情を出力しているために起こる心理的傾向あるいはその傾向があること」となり、ネガティブシンキングは「平常状態で脳が否定的感情を出力しているために起こる心理的傾向あるいはそれの傾向があること」となります。

どうでしょう、理解できたでしょうか。


では、巷に蔓延るポジティブシンキングやネガティブシンキングに関する代表的な誤解を解いていきましょう。

誤解その1

 ネガティブシンキングは悪いことだ。

誤解その2

 ポジティブシンキングは良いことだ。

誤解その3

 ポジティブシンキングをしたほうが物事(仕事・勉強・スポーツ)がうまくいく

誤解その4
 
 ポジティブシンキングをし続けることが、幸福をもたらす

誤解その5

 (ネガティブ・ポジティブ論争における)ポジティブシンキングは逆に不幸をもたらす

誤解その6

 ネガティブシンキングはし続けると、不幸をもたらす


まずは誤解その1から訂正します。

 ネガティブシンキングは悪いことではありません。

 ネガティブシンキングをすることで、犯罪や事故から身を守る事が出来ます。
 他者に対して、ネガティブな態度を貫く事が必要な場面は多々あります。海外旅行で治安の悪い地域を旅行する場合は、ネガティブシンキングは有効です。詐欺や誘拐や強盗に合うリスクを下げます。
 ネガティブシンキングで致命的なミスや過度な楽観視を避けることができます。
 自動車運転では、ネガティブシンキングの適度にストレス(不快)がある状態は運転に適しています。もしかしたら事故に合うかもしれない、事故をおこすかもしれないという事を考えることで脳は手抜きをしなくなります。

 もちろん、ネガティブシンキングの悪い側面もあります。
 通常特に疑う必要のないことに対して、過度に疑念を抱く。
 人と信頼関係を気づきにくいため、人間関係に躓きがち。
 本当に良い商品やサービスなのに、広告宣伝が下手だったり、無名だったり、怪しいくらい効果が高いと怪しい商品だと判断して購入せず利益を逃してしまいます。

誤解その2の訂正です。

 ポジティブシンキングが困る場面は多々あります。

 基本的に他者に対してポジティブな態度を取るので騙されやすくなります。相手の悪意や害意を想像しにくいので、相手に悪意があることに気づきにくいです。海外旅行で治安の悪い地域を旅行する場合、ポジティブに物事を捉える癖が、犯罪者に対して付け込まれる原因になります。
 書かれている文章に対して否定的感情を持ちにくいので、怪しい通販や商材に騙される可能性が高くなりがちです。
 批判したり訂正したり改善すべき事に対しての許容度が高くなりがちなので、それをするべき事柄が自分や友人や家族、恋人にあっても許容してしまい、相手や自分の将来の利益を失わせてしまう。(具体例、子供が友人に対して暴力や暴言を吐く。友人が他人家の冷蔵庫を勝手に開ける。夫が子供の前で煙草を吸う。毎日酒を大量に飲む等)

 もちろん、ポジティブシンキングの良い面もあります。
 他者に対して肯定的感情を持ちやすいので、人間関係が楽、上手く行きがち。
 世の中をよく捉えがちなので生きてて楽。
 どうしようもない状況でも、肯定的に捉えることによりそれほどストレスがない(逆境に強い)。


誤解その3の訂正です。

 ポジティブシンキングは勉強・仕事・スポーツに対して良い面と悪い面があります。

 ポジティブシンキングの方は、平常状態で肯定的感情(快)を抱いているので、勉強や仕事やスポーツに対して積極的に行動できます。何かを始める時に心理的抵抗が少ないからです。
 逆に、勉強や仕事やスポーツのここぞと頑張らなければいけない場面など、ストレスが必要な場面ではストレスを弱めてしまうのでガツンと頑張れません。

誤解その4の訂正です。

 場合によります。

 ポジティブシンキングでどうにもならない場合は多々あります。

誤解その5

 場合によります。

 ポジティブシンキングで物事をうまく生かせる事は可能です。
 やり方次第です。

誤解その6

  場合によります。
  ネガティブシンキングをする方で、幸福な方も沢山いらっしゃいます。
  ネガティブシンキングをする方で、不幸になることもあります。

6つの誤解を解いていきました。



では次は、タイトルにある戦略型ポジティブシンキングと戦略型ネガティブシンキングの説明になります。

大事なことを述べます。

実は、ポジティブシンキング―ネガティブシンキングの裏には、隠れたもう一つの軸があります。 

それは理想主義―現実主義の軸です。

多くのポジティブシンキング―ネガティブシンキング論争ではあまり指摘されていませんが、ポジネガの他に理想現実という隠れた変数があったのです。

多くの場合、この理想主義―現実主義の軸が語られることが無いので、よくわからない議論になってしまいます。

まずは言葉の定義からです。

理想主義とは、ある理想的な状態を目指して物事の判断や選択をしていく事、あるいは理想的な物事の状態があるという考えです。

現実主義とは、現在の状態でもっとも適した判断や選択をしていく事、あるいは理想的な状態があると考えず現在の状態(現実)があるという考えです。

多くの場合、ポジティブシンキングという言葉を使う時、その裏には理想主義があります。

ネガティブシンキングという言葉を使う時、その裏には現実主義があります。

実は、これらの組み合わせはリスクを伴います。

理想的な状況が肯定的な判断や選択だけで実現することは少なく、現実的な状況で否定的な判断や選択を行い続けてしまうと状況をより悪い方向へ行かせがちだからです。

前者は、自己啓発のポジティブシンキング教にハマり過ぎて人生を崩壊させるような方が代表的です。

後者は、より良い政治判断したつもりが、国内情勢や世界情勢をより悪化させてしまった政治家などが典型例です。

よって、ポジティブシンキングをする時は現実主義で物事に向き合い、ネガティブシンキングをする時は理想主義で物事に向き合うことが必要になります。

ポジティブシンキングと現実主義の組み合わせを、戦略型ポジティブシンキングと呼ぶことにします。

ネガティブシンキングと理想主義の組み合わせを、戦略型ネガティブシンキングと呼ぶことにします。

ポジティブシンキングと理想主義の組み合わせを、単純型ポジティブシンキングと呼ぶことにします。

ネガティブシンキングと現実主義の組み合わせを、単純型ネガティブシンキングと呼ぶことにします。

戦略型ポジティブシンキングは、平常時の脳が快の状態で物事を現実的に判断しますから、無駄な恐れを感じず徹底的に現実的に考えることができます、理想的な状態を目指すのではなく現実的な状況判断をするので、騙される事過信する事を回避できます。

戦略型ネガティブシンキングは、平常時の脳が不快の状態で物事を理想を目指して判断しますから、徹底的に様々な条件を否定的に考えることができ、そして現在の状態の向こう側(理想的な状態)を常に想定する事で短絡的な判断を回避できます。

戦略型のポイントは、バランスです。

脳の状態と、判断基準の組み合わせで、思考と主義の持つリスクを低減しています。

単純型は、思考と主義の持つリスクを高くしています。

ポジティブシンキングやネガティブシンキングについて語る時、それが単純型か戦略型かで大きく違ってきてしまいます。

ネガティブシンキングでそれにお困りの方が、無理にポジティブシンキングになる必要はなく、単純型から戦略型に移行するだけでよいのです。

単純型ポジティブシンキングの方は、戦略型に移行することが必要な場合も多いでしょう。



以上がポジティブシンキングとネガティブシンキングについての記事です。

ありふれた内容を長々と書いてしまいました、読んでいただいた方に感謝です。

ちなみに、戦略型ポジは起業家に、戦略型ネガは学者の方に多い印象です。

起業家の方が単純型ポジだと、社員が不幸です。

学者の方に単純型ネガ多いと、懐疑論者だらけで学問が発展しないです。


今回はこれで終わります。

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